「ときには真珠のように」


 以下のニュースの見出しを目にした瞬間、『ブラック・ジャック』の「ときには真珠のように」を思い出しました。

【心臓手術で針置き忘れ=女性から13年後摘出―佐賀大病院】
 佐賀大付属病院は1日、2001年に行った当時40代の女性患者の心臓手術で、心臓内部に縫合針を置き忘れる医療事故があったと発表した。今年7月、再度の心臓手術に合わせて針を摘出し、身体への影響はなかったという。
 同病院によると、01年に大動脈弁置換などの手術をした際、長さ1.6〜1.7センチの縫合用の針1本が残ったのに気付かず閉胸した。09年に女性が抜歯のため入院し、07年の心臓カテーテル検査の画像を見直したところ、大動脈弁の前方に針が写っているのが見つかった。
 術後8年が経過し、針は心臓内の膜で覆われ固定されていたため経過観察にとどめ、再度の大動脈弁置換手術に合わせ取り出した。
時事ドットコム 2014/08/01-17:37)
 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2014080100712

 ブラック・ジャックの体の中に置き忘れられたのはメスでした。そして、置き忘れた医師は本間先生です。
 このニュース記事によれば、患者さんの体の中に置き忘れられた針は心臓内の膜で覆われていたようですが、「ときには真珠のように」では、ブラック・ジャックの肝臓の下に置き忘れられたメスはカルシウムの鞘に包まれていました。どちらの事例も、鋭利な異物を体内の物質で包みこんで体が自律的に自己を守っていたのです。


「ときには真珠のように」は、ラストの一コマで本間先生が発した以下のセリフがよく知られ、名作として名高いです。
「人間が生きものの生き死にを自由にしようなんて おこがましいとは思わんかね……」
 私も一人の人間として、このセリフを謙虚に受け止めねば、と思います。