大森望・豊崎由美「文学賞メッタ斬り!」


文学賞メッタ斬り!

文学賞メッタ斬り!


 本読みの達人、大森望豊崎由美が、日本にあまたある文学賞に切り込んだ対談本。
 文学賞の選考委員に着目して、その個性や役割をおもしろおかしく評価するところなど読んでいて心が躍った。宮本輝(テルちゃん)は舞城王太郎笙野頼子といった最先端の現代小説を理解できない抵抗勢力だとか、渡辺淳一(ジュンちゃん)は下半身専用御意見番だとか、津本陽の選評は凡庸の極みでおもしろいとか、そんな愛情とからかいと批判精神のこもった選考委員評が次々と飛びだすのだからたまらない。


 芥川賞直木賞という最高にメジャーな文学賞が、賞をあげるべき作品にあげていないのに対し、谷崎潤一郎賞はその時点での各作家の代表作にきちんとあげている、といった話題も注目だった。豊崎が、現行の文学賞には不満が募るばかりだが、メフィスト賞日本ファンタジーノベル大賞谷崎潤一郎賞泉鏡花賞あたりは読み続けたいと言っているので、素直な私も今後の読書の参考にしたい、と思った。