「手塚治虫とっておきの漫画」

 
 さいたま市立漫画会館で開催中の企画展「手塚治虫とっておきの漫画」に足を運びました。手塚治虫デビュー70周年記念・漫画会館開館50周年記念の催しです。
 
 
 
 
 
 
 ・さいたま市立漫画会館。閑静な通りに建っています。この近辺は盆栽の町なんですね。


 
 
 
 
 
 ・展示室に入るまでの通路には、こうした写真が掲げられていました。(展示室内は撮影禁止です)


 手塚先生の原画展というと、通常は『鉄腕アトム』『ジャングル大帝』『リボンの騎士』『ブラック・ジャック』などマンガ作品の原画展示が中心になるわけですが、この原画展は、イラスト、絵本画、風刺画、挿絵などにスポットをあてているのがユニークです。
 手塚先生は、ご自身のメインフィールドであるマンガ(ストーリーマンガ)の仕事だけでも大量に抱えていて超多忙でした。そんな先生が、余技ともいえるイラストや絵本画などでこんなにも丁寧かつハイクオリティな作品を制作されていた事実に驚嘆です。その事実はずっと前から知っていたとはいえ、手塚先生の一枚絵的な原画が一堂に会した光景を目の当たりにすると、あらためて驚かされるのです。
 作風の幅広いことといったらもう! 絵本画のあたたかくてやさしい世界を見たかと思えば、その横のコーナーには風刺画が並んでいて、皮肉のこもったユーモアや社会問題を鋭く切り取るセンスを堪能できます。


「未来画」のコーナーもありました。手塚先生による未来予測イラストの数々。たとえば、1982年の時点から1980年代後半〜2001年の出来事を予測的にイメージした『2001年日本の旅』など。そこで描かれた未来世界がすでに過ぎ去った現在の目から、それらのイラストを眺める行為は、過去と未来と現在が交錯してなんとなくSFチックです(笑)


 一枚絵的な作品が中心でしたが、少しだけストーリーマンガの原画も展示してありました。その作品セレクトが渋好みでして、デビュー作の『マアチャンの日記帳』をはじめ『化石島』『百物語』『よろめき動物記』『アリと巨人』『七色いんこ』というラインナップでした。


 1977年に同館で開催された文春漫画賞手塚治虫展のときの写真も展示されていました。会場で子どもと触れ合う手塚先生、展示をご覧になる手塚先生など。そのとき手塚先生は芳名帳にアトムを描かれています。その芳名帳も見ることができました。縁側で将棋をさすアトムです。


 
 同展のリーフレット
 

 
 チラシ。


 
 ロビーでアトムのスタンプを押しました♪


 入場無料で、あんまり大きな規模な展覧会ではありませんが、鑑賞し終えたときの充実感は大きいです。