『ミクロイドS』に改題された回


 手塚先生の『ミクロイドS』が巻頭カラーで掲載されている「週刊少年チャンピオン」1973年4月30日号を古書店で見つけました。買い求めやすいお値段だったので購入しました。
 
 この作品は『ミクロイドZ』というタイトルで連載が始まりましたが、大人の事情で『ミクロイドS』に改題されました。ちょうどこの号から『ミクロイドS』になっています。
 
 カラートビラに「第2部に突入!!」とありますが、この時点では連載開始からわずか1ヶ月ほどしか経過していません。こんなに早い段階で「第2部に突入!!」なのは、ストーリー上の必然というよりは、唐突な改題があったためここで無理やり一区切りつけた、といった印象です。


 『ミクロイドZ』というタイトルで連載が始まったのに、なぜ改題されたのか? この作品はマンガ版の雑誌連載と同時にテレビアニメ版の企画も進行しており、そのテレビアニメのスポンサーがセイコーに決まったタイミングで改題が行なわれたようです。セイコーのライバル会社であるシチズンCITIZEN)を連想させる『Z』から、セイコーの頭文字をとって『S』に変更されたのです。
 そんな大人の事情による改題ですから、なぜタイトルが変更されたのかという説明は「少年チャンピオン」誌上に見当たりません。読者にしてみれば、本当に唐突な改題なのです。
 しかし、この回のカラートビラをあらためて見ると、ページの下半分に腕時計がでかでかと描かれています。大人の事情だから少年読者に具体的な説明はしなかったけれど、「スポンサーがセイコーに決まった!」という事実をこの腕時計の絵によって暗示しているように思えます。読者には伝わらないことを前提としたスポンサーへのサービスカット、と解釈することもできそうです(笑)
(『ミクロイドZ』の『Z』が『S』に変更された理由については、前年からテレビ放映されていた人気アニメ『マジンガーZ』とかぶるから、という説も聞いたことがあります。どちらが真実なのか私には断定的できません)



 ※昨晩(7月10日25時35分〜)テレビ東京系で放映の始まったアニメ『深夜!天才バカボン』を観たら、いろいろとハチャメチャなことをやっているなか、ブラック・ジャックまで出演してびっくりしました。しかも声はちゃんと大塚明夫さん! バカボンのパパを持ち前の技術で手術しちゃうのです(笑)
 http://shinya-bakabon.com/