東野圭吾「片想い」
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/08/04
- メディア: 文庫
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東野圭吾のミステリーは、重いものから軽めのものまで多種多様で、どの作品も水準以上の質を保っていて、とても器用な作家だと思うが、個人的には彼の作品になかなか熱狂できない。「うまい」「おもしろい」とは感じるのだが、それ以上私の心のコアな部分に届いてくるものがないのである。
それでも、東野作品には大ハズレがないため、安心して読むことができる。
『片想い』もいい作品だった。大学時代、アメリカンフットボール部で青春をすごした面々の10年後の物語。性同一性障害やジェンダーの問題を扱っている。そういう問題に新しい視点や見識を与えられたような気がする。
登場人物の性格的な役割を、アメフトのポジションになぞらえて描写するところは、アメフトに馴染みのない私にはいまいちピンとこなかった。