殊能将之「キマイラの新しい城」

キマイラの新しい城 (講談社ノベルス)

キマイラの新しい城 (講談社ノベルス)

 なかなか凝った設定のミステリーだ。中世フランスの古城を日本に移築復元したテーマパークを経営する社長に、その古城の城主だった人物の霊が憑依。社長に憑いた霊は、750年前、城内の密室で何者かに自分が殺害された、と主張する。そんな大昔の奇妙な密室殺人を解決するため、殊能作品でお馴染みの名探偵・石動戯作が立ち上がる。
 そんなところから話が始まるのだが、本書の帯で「この話を書けるのは殊能将之の他にいない!」と宣伝されているように、まともな筋道では終わらないミステリーになっている。