宇宙戦争
このブログ、長きにわたって放置状態だったが、これからまた復活させ、読書や映画鑑賞後の感想メモ、備忘録として使っていこうと思う。
更新は気まぐれにやっていくので、頻度が高いときもあれば低いときもあるだろう。
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原作は宇宙人侵略モノの古典的作品で、過去にも1953年にジョージ・パルの製作で映画化されている。
1938年にオーソン・ウェルズがこの作品をアメリカでラジオドラマ化したさい、多くの聴取者が宇宙人襲来を本当のニュースだと勘違いしてパニックが起こった、というエピソードは有名だ。
トム・クルーズ演ずる主人公は、港湾労働者。別れた妻が引き取った息子と娘を預かることに。そんなタイミングで恐ろしい異変が起こる。
本映画でまず印象に残ったのは、宇宙人が操る巨大な乗り物のデザインだ。不気味さとかっこよさがブレンドされていて、けっこう気に入ってしまった。異様に脚が長いクラゲとかタコを思わせる軟体動物系の造形で、触手の動きがなまめかしかった。
主人公たちが地下室に隠れているとき、先端にカメラアイのついた触手が地下室を探りに来るのだが、そのシーンが作中で最もハラハラドキドキした。
後半になって宇宙人の姿があらわになるが、これはいっそのこと最後まで姿を描かなかったほうがミステリアスでよかったかもしれない、と思った。せめてラストにちょこっと姿を映すだけ、というほうが効果的ではなかっただろうか。
宇宙人が地球を襲撃してきた、というとてつもなく大きな事件を描いた映画だけれど、主人公視点で物語が進んでいくため、俯瞰的な映像や大局的な情報が欠けているのも本作の特徴だった。
宇宙人と地球人の戦闘を描くのがメインテーマではなく、わが子を守り抜く主人公の家族愛が最大のテーマだったような気がする。
宇宙人の武力は地球人より圧倒的に優位であるうえ、主人公が超人的存在ではないため、ほとんど宇宙人にやられっぱなしという場面が続く。最後に地球人によるちょっとした抵抗が見られるものの、地球人の力で宇宙人をぶちのめすというカタルシスは得られない。最期の解決は、あっけないといえばあっけない。
そんなところに物足りなさなを感じる鑑賞者も多そうだが、あの結末は原作リスペクトの内容だし、SFマインドのあるやり方であって、決して悪くはないと思う。この映画は、地球人の無力さを徹底して描いた作品なのである。襲撃してきた宇宙人と真っ向から戦う話ではなく、無力さゆえに宇宙人から逃げ続けるという話なのだ。だからこそ、ハリウッド的な勧善懲悪の痛快娯楽アクションを期待したら肩すかしをくらってしまう。
あと、主人公の娘(10歳)役の子の演技が心に刻まれた。恐れおののきショックを受け、目をがっと見開き、悲鳴をあげたり硬直したり、なかなか存在感を発揮していたと思う。
この娘が、川の上流から多くの人の死体が流れてくる光景を目撃する場面は、とくにインパクトがあった。