エド・ウッド

エド・ウッド [DVD]

エド・ウッド [DVD]

 ティム・バートン監督の映画「エド・ウッド」(1994年)を今になってようやく観た。「史上最低の映画監督」としてカルト的な人気を誇るエド・ウッドを描いた伝記的作品だった。ティム・バートンエド・ウッドに対する愛が感じられ、エド・ウッドの映画への愛も感じれる、愛のあふれた映画だった。モノクロ映画なので、ティム・バートンの白と黒の世界を堪能できた。


 エド・ウッドが、尊敬するオーソン・ウェルズと偶然会う場面で、ウェルズは「他人の夢を撮ってどうする? 自分の夢を撮るんだ。夢のために戦え」とエド・ウッドを励ます。そのセリフが私の胸にもグッと響いた。いま自分が夢のために頑張れているのか…自問してしまった。
 オーソン・ウェルズは最高の映画人と評価され、エド・ウッドは最低の映画監督と言われていて、その意味で非常に対照的な二人だが、両人とも夢の実現のため資金繰りで苦労していたことが理解できた。


 ドラキュラ役で名高いベラ・ルゴシエド・ウッドの奇妙な友情関係も見どころだった。晩年、時代遅れの俳優となりクスリ漬になっていたベラ・ルゴシの描写に悲哀を感じつつ、寂しい晩年にエド・ウッドと出会えたことはルゴシにとって救いだったんじゃないかと思えた。ベラ・ルゴシ役の俳優は名演だったな。


 あと、終盤でエド・ウッドの恋人となる女性がチャーミングだった。

 映画づくりへの意欲は人一倍ありながら最低のB級映画ばかり撮り続けたエド・ウッド監督の作品を私はまだ観たことがない。ティム・バートンの「エド・ウッド」を観てエド・ウッド監督の映画に興味がわいてきたので、作中に出てきたエド・ウッド作品「グレンとグレンダ」(1953年)、「怪物の花嫁」(1955年)、「プラン9・フロム・アウタースペース」(1956年)あたりから観てみようかな。