カサハラテツロー「RIDEBACK」

RIDEBACK 1集 (IKKI COMICS)

RIDEBACK 1集 (IKKI COMICS)

 
 カサハラテツローのマンガ『RIDEBACK』(ライドバック)』全10巻を読んだ。小学館の「月刊IKKI」2003年1月号から2009年1月号まで連載された作品だ。私は、その作品世界のなかに相当のめりこむことができた。
 近未来、日本では反体制の学生運動が再活発化していた。国連が解体された世界では、世界統治軍が各国に勢力を拡大しつつあった。それに抵抗する国境なき軍事同盟。世界統治軍から見ればテロ集団である。
 主人公は、そんな世界に燦然と現れた女子大学生・尾形琳。本作は、この細身で美しく舞踏の才能を持ったヒロインの輝きと戦いと苦悩を描いた、ロボットアクションものだ。イコンとして反体制運動の象徴と化した琳のカリスマ性と、等身大の少女として琳の姿に魅了される。琳を取り巻く人物たちもそれぞれに存在感がある。
 ライドバックとは、ヒト型の二輪ロボット。この道具の描写が緻密で、それを操縦する人物の動きや思いと相まって画面に引き込まれる。