『トキワ荘物語』に登場する子育地蔵尊へ


 手塚マンガに登場する実在スポットのひとつ、東京都豊島区にある「子育地蔵尊」に行ってきました。登場作品は『トキワ荘物語』(初出:「COM」1970年9月号)です。
 
トキワ荘物語』は、トキワ荘ゆかりの漫画家による競作で、「COM」1969年10月号の水野英子先生から始まって、1970年9月号の手塚先生の回で終わっています。
 子育地蔵尊は『トキワ荘物語』に登場するだけあってトキワ荘のすぐ近くにあります。手塚先生の『トキワ荘物語』はトキワ荘自体を語り手にして話が運ぶのですが、本作の冒頭でそのトキワ荘が「すぐ近くには子育て地蔵さまもおいででした」と語っています。



 現在トキワ荘の建物は残っておらず(1982年に解体)、跡地にこんな記念碑が建っているので「ここにトキワ荘があったんだ」と確認することができます。
 
 手塚先生は1953年、それまで下宿していた四谷の八百屋から豊島区椎名町のアパート「トキワ荘」へ引っ越しました。その後トキワ荘には寺田ヒロオが入居、手塚先生が退出した部屋に藤子不二雄藤子・F・不二雄藤子不二雄A)が入り、さらに鈴木伸一森安なおや石森章太郎(のちに石ノ森章太郎)、赤塚不二夫よこたとくお水野英子といった当時の若手漫画家が続々と住んで、のちに“漫画家の梁山泊”“漫画の聖地”と呼ばれるようになったのは有名な話です。トキワ荘に通ってくる漫画家も多く、そういった漫画家たちは「通い組」と呼ばれています。



 手塚先生は1954年10月、トキワ荘を出て、雑司が谷の「並木ハウス」へ引っ越します。
 私は並木ハウスには2年ほど前に行ったことがあります。そのときの写真がこれです。
 
 トキワ荘の建物は跡形もありませんが、並木ハウスはまだこうして残っているのです。