『知の巨人たち』第8回「手塚治虫」放送。


 きのう(1月31日・土)、『戦後史証言プロジェクト 日本人は何をめざしてきたのか 知の巨人たち』第8回「手塚治虫」がEテレにて放送されました。この『知の巨人たち』シリーズは、放送時間1時間半の硬派ドキュメンタリー番組であり、第5回:吉本隆明、第6回:石牟礼道子、第7回:三島由紀夫と続いて第8回で手塚治虫が取り上げられるとあって、非常に楽しみにしていました。


 手塚治虫を知る多彩な人たちによる証言集、といった趣向でした。そうした証言から手塚先生の業績や思想、影響に迫ろうと試みたようです。
 証言者のなかに手塚先生の弟さんや同級生の方がいたのは特筆すべきでしょう。とくに、弟の手塚浩さんがテレビで語られている姿に感銘を受けました。
 著名な方々も多く出演しました。松本零士先生、水野英子先生、萩尾望都先生、りんたろうさん、豊田有恒さん、梅原猛さんなどなど。赤塚不二夫先生、石ノ森章太郎先生の生前のVTRも使われました。萩尾望都先生の語り口、好きだなあ。
 仏文学者・巖谷國士さんが手塚先生について語っている姿を観られたのも嬉しい。この方のシュルレアリスム関係の本が好きだったもので。


 手塚マンガのコマを映しながら声優さんが演じるくだりが何度かありました。『ジャングル大帝』や『鉄腕アトム』など。私はとくに『メトロポリス』のくだりで興奮してしまいました。


 終戦によって生き延びられた手塚先生の喜びが語られる場面もありました。手塚先生はその体験をいろいろなところで語られているし、その手塚先生の発言がまたいろいろなところで紹介されていますが、今回の番組でもそのときの手塚先生の思いが伝わってきて、胸をうたれました。戦争を体験していない世代として、その思いを感受しつづけていきたいとあらためて思いました。
 私は戦争を体験していないけれど、それでもこの社会で今まだ生き延びられていることを無性に不思議に感じることがあるし、やたらと感謝したくなることもあります。そんな感情が今回の番組を観ているときにも湧き出てきました。


 2月7日(土)午前0時00分(金曜深夜)から再放送がありますので、見逃した方はそちらでどうぞ!