「『描く!』マンガ展〜名作を生む画技に迫る―描線・コマ・キャラ〜」


 4月29日(金)から6月5日(日)にかけて、豊橋市美術博物館で「『描く!』マンガ展〜名作を生む画技に迫る―描線・コマ・キャラ〜」が開催中です。
 
 ・豊橋市美術博物館


 
 
 
 ・出品作家13名のなかに手塚治虫先生の名もあります。


 同展は、大きくわけて3つのコーナーがあり、第1章「すべての夢はペンと紙からはじまる」の冒頭で手塚作品の展示を観られます。
「「マンガの神様」も、はじめはマンガの読者だった」というコンセプトで、手塚先生の作品から、先行するマンガ作品の影響が見て取れるページが紹介されていました。1937年、手塚先生が小学3年生のころクラスで回覧していたという『ピンピン生チャン』(現物は肉筆本ですが、ここでは印刷したものを展示)では、横山隆一『フクちゃん』のキャラクターが描かれていました。
ブラック・ジャック「灰色の館」』で、ブラック・ジャックが歯を磨いたり着替えたりする姿が連続的に描かれたページがあります。同展の看板でもそのページが紹介されています。
 
 これは、ミルト・グロッス『He Done, Her Wrong』(1930年)の日本語版『突喊居士』(1937年)を意識したものだそうです。
 また、『オヤヂ探偵』『勝利の日まで』『ブラックジャック「白葉さま」』などに登場するキャラクター“ノンキメガネ”は、麻生豊『ノンキナトウサン』へのオマージュであろう、との指摘もありました。


 高校2年生当時の石ノ森章太郎先生がペン入れをしたと伝えられる『鉄腕アトム「電光人間の巻」』の原稿も展示されていました。「少年」1955年1月号別冊付録で発表された作品ですが、単行本収録時には、手塚先生がご自分の手で描きなおしています。石ノ森先生筆とされる原稿では、コマが切り取られた箇所があって、その切り取られたコマが、手塚先生が描きなおしたサンコミックス版に貼り付けられ使用されていることを示す展示も興味を引かれました。


 そのほか、「赤本」を解説するコーナーに、『メトロポリス』『来るべき世界』『ふしぎ旅行記』の赤本単行本が置いてありました。