『#こんなブラック・ジャックはイヤだ』

 1月26日発売の『#こんなブラック・ジャックはイヤだ』を読みました。『ブラック・ジャック』のパロディマンガです。
 
 ブラック・ジャック、キリコ、ロック、ピノコたちの、お茶目でおふざけな日々(笑)
 キリコが“安楽死”以外のアイデンティティの提示を迫られる場面など、クスッとしました。「おるすばんピノコ」は、いじらしくてジーンとするお話です。
 パロディマンガ以外に、手塚キャラを描いたカラーイラストも何点か収録されています。そのクオリティの高い手塚っぽさに見とれました。


 作者のつのがいさんは、マンガを描くこととは無縁の生活を送ってきたのに、2015年になってつけペンに出会い、憑かれたように手塚タッチを身につけ、『ブラック・ジャック』のパロディマンガをSNSで発表するようになりました。
 それが評判を呼んで、手塚るみ子さんにスカウトされ、2017年初めにはこうして堂々たる公式作家として本を出しているんですから驚異的です。つけペンに出会って絵を描くようになるまで手塚マンガを一冊も読んだことがなかったそうで、まったく手塚成分のなかった人が、短期間のうちに生き写しのごとき手塚タッチをわがものにし、手塚プロ公式の描き手になったなんて、そこらへんのイタコ以上にイタコ的霊能をお持ちなんじゃないかと思いたくなります♪
 つのがいさんは、イタコ漫画家の一つの理想的なありようを見せてくれている気がします。


 このコミックスの帯コメントを手塚るみ子さんが書いておられます。かつてるみ子さんは、田中圭一先生の『神罰』の帯に「訴えます!ライオンキングは許せても田中圭一は許せません」という粋なコメントを寄せたことがあります。そこからの連続性で今回の帯コメントを読むと、ますますおもしろいです(^^)