2017年手塚治虫先生のお誕生日


 11月3日(金・祝)は手塚治虫先生のお誕生日でした。
 毎年この日は何らかの手塚作品に触れるようにしています(できない年もありますが)。


 今年は『アトム今昔物語』を読み返すことにしました。
 
 2017年に迎える手塚先生のお誕生日ということで、2017年に関連する手塚作品を探したところ、あまり目ぼしいものは見当たらなかったのですが、「2017年」という語が作中に出てくる『アトム今昔物語』を選びました。アトムが「ぼくのいた時代は2017年なのに」と言う場面があるのです。
 『アトム今昔物語』は、2017年にいたはずのアトムがタイムスリップして50年前へ行ってしまうお話です。2017年の50年前である1967年(単行本化による描き換え後は1969年)から時代が進んでいく物語なのです。


 『鉄腕アトム』本編といえる「少年」連載版は(当時の読者から見て)未来のお話でしたが、『アトム今昔物語』は読者の暮らす同時代(1960年代)を舞台にして始まります。それによって、人間型ロボットが原始的なタイプからアトムのレベルに到達するまでのロボット発達史を描くことにもなりました。
 それはロボット技術の発達史であるとともに、人間から見下され差別されてきた人間型ロボットが自分らの権利を獲得していく苦闘の歴史でもありました。


 『アトム今昔物語』に登場するイナゴ型宇宙人の女性・スカラは、地球人そっくりに変身し、アトムのお姉さん的役割で準主役級の活躍をします。無邪気で移り気で軽はずみで常識知らずな言動でアトムや周囲を振り回すのですが憎めないチャーミングなキャラクターです。
 若かりし頃のお茶の水博士やヒゲオヤジらが登場するのも見どころです。


 『アトム今昔物語』の連載は1967年からサンケイ新聞でスタートしました。1963〜66年にフジテレビ系列で放映されたアニメ『鉄腕アトム』(第一期)最終回の後日譚という形で話が始まっています(単行本化のさいその辺は改変されていますが)。テレビでアニメを放映したり新聞で漫画を連載したりとアトムと縁の深かったフジサンケイグループは、この当時プロ野球の球団を経営していました。サンケイアトムズです。フジテレビがアニメ『鉄腕アトム』を放映していたことや、手塚先生が球団後援会副会長をつとめていたことから「アトムズ」と名づけられたそうです。
 その後アトムズは、フジサンケイグループからヤクルトへ経営権が譲渡されます。
 
 これはヤクルトアトムズ時代のヤクルトのノベルティです。1970年代前半のモノと思われます。1974年、アトムズはスワローズへ改名し(というかスワローズに戻し)現在に到ります。